経営者の債務整理及び生活の維持

ご相談のタイミング

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事業再生・私的整理を実施する際の大きな問題として,経営者の保証債務についてどのような債務整理を実施し,今後の生活を維持するかという点が挙げられます。

生活の維持の点について言えば,事業の再生が実現できれば,これまで全く同じという形では債権者のご納得は得られないかもしれませんが,相当程度の生活を維持することは十分に可能です。

他方で,経営者の債務整理の観点では,自宅不動産をはじめとする経営者の資産を守ることができるかどうかという点が大きな問題となり,原則的には,処分をして債権者の弁済に充てなければならないことが多いと思われます。
(ただし,事業再生・私的整理を選択した場合,そうなるまでには少なくとも1年以上の猶予期間があるのが通常です)

しかしながら,経営者の自宅に住宅ローンの抵当権が設定されている場合は,経営者について個人再生手続を実施するといった方法で自宅を守ることができる場合もあります。また,その他の場合でも,自宅に住み続けることができる可能性は皆無ではありません。

また,平成26年2月1日からは,金融機関の債務に関する経営者の保証債務について,「経営者保証に関するガイドライン」が適用されることとなり,経営者の資産確保のための新たな手立てが提供される可能性が生まれました。公正妥当な私的整理を実施することで,経営者の個人資産をより一層保全できる可能性が出てきたのです。当事務所としても,このガイドラインの活用を試みたいと思っております。

そして,仮に自宅をはじめとする資産を手放さなくてはならない状況になったとしても,経営者個人については破産手続を実施することで,金99万円までの生活財産を残しながら,経営者の個人保証については免責(実質的に債務を消滅させること)を得て,将来にわたる不安を解消して再起を図ることは可能となります。